開いた写真アルバムと、手書きの年表を書き込んだノート

この記事の要点

自分史は、実際に経験した出来事とそのときの思いを、後の人へ伝える記録です。立派な業績や人生の結論を求めず、残したい相手と場面から書く目的を決められます。

自分史は体験と思いを後世に伝える自分の伝記です

自分史とは、自分が生きてきた体験やエピソードをまとめ、後世に伝える自分の伝記です。お手軽出版ドットコムでもこのように説明し、自伝や自叙伝もほぼ同じ内容としています。生まれた日からの出来事だけでなく、何を考え、どんな選択をしたかも記録の中に入ります。

例えば、故郷を離れた年だけを書けば経歴ですが、見送りに来た家族の表情や、鞄に入れていた品を添えると、その人の暮らしが伝わります。事実の順番に自分の言葉を重ねることで、年表から読み物へ育っていきます。すべての時期を同じ詳しさで書く必要はありません。

自分の経験を軸にする点で、創作を中心とする小説とは目的が異なります。覚えていない場面を話の都合で作るより、分からないことは分からないまま残せます。人から聞いた話は「母からこう聞いた」と添え、自分が見たこととの境目を示します。

書く目的は自分を知り直すことと記録を伝えることです

昔の出来事を書いていると、忘れていた喜びや、いまの自分につながる選択に気づくことがあります。当時は失敗だと思った経験が、その後の仕事や人間関係を支えていたと見直すこともできます。こうした「自己の再発見」は、書く目的のひとつです。

もうひとつは、何を思い、何をしてきたかを記録として残し、誰かに伝えることです。口で繰り返し話したつもりでも、家族は途中の事情を知らないかもしれません。まとまった文章なら、読みたいときに戻り、離れて暮らす家族とも同じ記録を共有できます。

本にすることで、散らばった手記や写真に読む順番が生まれます。子や孫にとっては、家族の価値観や暮らしを知る財産になります。ただし、読者に教訓を与えようと力む必要はなく、迷ったことや決めきれなかったことも、その人を知る材料です。

自伝・回想録・エッセイの違いは重心にあります

呼び名の境目は厳密ではなく、重なる部分があります。最初に分類を確定するより、何を中心に読んでもらいたいかで考えると選びやすくなります。次の表は、自分の本の方向を考えるための整理です。

呼び名中心になるもの自分史との関係
自伝・自叙伝自分の生涯や半生、考え方の歩み自分史とほぼ同じ意味で使われる
回想録過去のある時期や出来事を振り返る記憶対象を絞った自分史にも使える呼び名
エッセイ身近な題材についての体験や考え人生の順番に沿わず、短い文章を集められる
私小説自分の体験をもとにした小説表現記録の正確さより小説としての表現を考える形

例えば、仕事を辞めるまでの歩みなら半生の自伝、昔の住まいごとの思い出なら回想録という題し方ができます。短い文章を集めても、全体でその人の暮らしが見えるなら自分史になります。呼び名に合わせて体験を変える必要はありません。

平凡な日常も子や孫には知らない歴史です

目立つ業績がないから書けない、ということはありません。炊事の手順、通学路の様子、給料日をどう迎えたかなど、当たり前だった日常は時代とともに変わります。自分には平凡に見える生活こそ、子や孫が知らない家族の歴史です。

堅い半生記でも、軽い気持ちの回想でもかまいません。祭りの支度、職場で覚えた道具の使い方、家族と囲んだ食卓などから題材を選べます。何でも書けることと、書いたものをすべて公開することは分けて考えます。

例として「毎朝、家族の弁当を包んだ」という短い記録を考えてみてください。誰が早起きをしていたか、何を詰めたか、その時間をどう感じていたかを足せば、暮らしの輪郭が見えてきます。出来事の大きさより、自分が覚えている具体的な様子を大切にします。

書き始める年齢は伝えたいことがあるかで決めます

定年、還暦、卒寿などの節目は、これまでを振り返るきっかけになります。節目に家族へ渡す本として、仕上げたい時期を決める方法もあります。一方、若くても書けるので、人生が完結するまで待つ必要はありません。

子育ての途中や転職の後など、いま覚えていることを残せば、後から読み返す資料になります。未来の見通しが立たない時期でも、その時点の迷いを書けます。先に短い記録を作り、後年の文章と区別して収める方法もあります。

就職活動でいう「自分史」は、経験を整理して自己分析に使う別の用途です。このサイトでは、人生の記録を文章や本として残す自分史を扱います。応募書類や面接のための作り方は対象にしていません。

最初は誰に何を残したいかを短く書きます

まず、読んでほしい相手と、残したい場面をノートに書きます。「孫に昔の家の暮らしを伝える」「仕事の仲間との経験を手元に残す」などで十分です。目的が仮に決まると、どこまで書くか、どんな資料が必要かを選びやすくなります。

題材の幅は自分史のさまざまな形、用意するものは何から始めるかで具体化できます。資料集めから原稿を整えるまでの順番は自分史の書き方にまとめています。いま書きたい場面を起点に、無理なく残せる形を探してください。

この記事に関する質問

自分だけで読むために書いてもよいですか?

かまいません。まず自分のための記録として書き、後で読んでもらう範囲を決める方法もあります。人に見せる予定がない下書きと、家族へ渡す原稿を分けて保管すると、率直に書いた言葉を残しながら掲載する内容を選べます。

出典・参考

書き終える前から、本の姿を考えておくと迷いません。

年表を作ると本文の年月の食い違いが減り、原稿の分量が分かるとページ数と費用の見通しが立ちます。どちらも無料で、このサイトの中で使えます。