原稿用紙に万年筆で文章を書いている年配の人の手元

この記事の要点

構成は読者が経験のつながりを追える順番で決めます。年表のまとまりから仮の目次を作り、各章で伝えることを短く書き添えて、執筆が進んだら並び方と分量を見直します。

構成は読者がどの順番で知ると分かりやすいかで決めます

自分史の構成とは、体験をどのまとまりに分け、どんな順で読んでもらうかを決めることです。思い出した順に書いた原稿も、後で並べ替えられます。書く順番と、本に載せる順番を同じにする必要はありません。

まず、本で最も伝えたいことを短く書きます。家族へ暮らしの変化を伝える本と、仕事で学んだことを伝える本では、読みやすい並びが違います。題材の量だけで決めず、初めて読む人が何を知れば次の話を理解できるかを考えます。

例えば、転職の決断を書くなら、前の仕事や当時の暮らしの説明が必要です。ただし、その前の人生をすべて詳しく書かなくても、判断の背景に関わる部分を補えば伝わります。必要な前提と、中心になる場面を分けて考えると、構成を絞りやすくなります。

基本の型は時系列・テーマ別・エピソード型です

並べ方に唯一の正解はありません。生い立ちからの流れを見せたいか、題材ごとに読みたいか、印象的な場面から入りたいかで候補を選びます。次の表は型ごとの長所と注意点です。

並べ方長所注意する点
時系列生い立ちから現在まで年齢や家族、暮らしの変化を追いやすい同じ調子の経歴が続かないよう場面を選ぶ
テーマ別仕事・家族・趣味など関心のある題材から読める年代の行き来や同じ出来事の重複に注意する
エピソード型印象的な出来事から入り前後を補う伝えたい経験を冒頭で示せる時間が戻る位置と人物の説明を明らかにする

時系列の章の中に、趣味についての短い節を入れるなど、組み合わせることもできます。テーマ別なら各章の初めに対象の時期を示し、章の中は古い順にする方法があります。複雑な構成を目指すより、読者が迷わず戻れる目印を置くことが大切です。

エピソード型を選んでも、冒頭を劇的な事件にする必要はありません。家族と食卓を囲んだ場面から、そこまでの歩みへ戻ることもできます。最初の場面が本全体の主題とどうつながるかを確かめます。

年表のまとまりを章にして仮の目次を作ります

年表の出来事を見て、生活の環境や自分の役割が変わるところに印を付けます。転居、進学、仕事の変化などが区切りの候補になります。変化の大きさだけでなく、書きたい場面がまとまっているかも見ます。

章ごとに「ここで伝えること」を短く書き、その下へ出来事のメモを置きます。例として「働き始めた頃」の章なら、初出勤、仕事を教わった場面、初めて任された作業などが候補です。メモが並ぶと、同じ話が別の章にも入っていないかを確かめられます。

  1. 年表から、詳しく書きたい時期やテーマを選びます。
  2. 似た役割の出来事をまとめ、章の仮題を付けます。
  3. 章の中に小見出しを置き、場面の順番を決めます。
  4. 前提が足りない箇所と重複する説明に印を付けます。
  5. 仮の目次を読み、出来事のつながりを確かめます。

この段階で本文を全部書く必要はありません。材料の少ない章は、家族に聞くことや探す写真をメモしておきます。書ける章から始めるための案内図として、目次を使います。

章の数は伝えるまとまりと分量で調整します

例えば6〜10章に分けて仮の目次を作る方法がありますが、これは構成の例です。その数に合わせて短い思い出を無理に分割したり、大切な時期を削ったりする必要はありません。章を分ける理由が読者にも分かるかで考えます。

長い章には、小見出しを置いて場面の切れ目を作れます。逆に、短い章が続く場合は、共通する時期や主題でまとめられないか見ます。各章が同じ長さでなくても、中心になる体験に分量があるなら自然です。

文字数だけでなく、写真や年表を入れる場所も想定しておきます。本文が少ない章でも、仕事の道具や家の写真で見せたい内容がある場合は、その役割を書き添えます。章の数を先に固定せず、原稿の実際の厚みに合わせて調整します。

まえがき・写真・年表は読む役割に合わせて置きます

本文以外の要素も、読者が理解する順番に関わります。まえがきは本文の前で、書いた目的や読む範囲を伝えます。あとがきは本文の後で、書き終えた気持ちや感謝を添える場所にできます。

要素置き場所の案読むときの役割
まえがき・目次本文の前本の目的と道順を知らせる
家系図巻頭、または詳しい図を巻末へ登場人物の関係を確かめる
写真関係する本文の近く、または口絵場面を見せ、人物や暮らしを補う
年表巻末、必要なら簡単なものを巻頭へ出来事の順番と年月に戻る
あとがき本文の後現在の思いや謝意を伝える

口絵は、本文の前などにまとめて置く写真や図版のページです。写真をまとめて見せる場合は、本文からどの写真か分かる説明を添えます。まえがきと本文の出だしを同じ説明で重ねないための考え方はまえがきと書き出しへ。

章題は中身の分かる言葉にして書きながら直します

章題が年号だけだと、目次を見てもどんな話か分かりません。「学校を出て初めての職場へ」「家族と迎えた新しい暮らし」のように、内容を表す言葉を置きます。年号を添えるなら補助の情報として使い、本文との対応を確認します。

題を美しくするために、実際の内容より大きな意味を持たせる必要はありません。章を書き終えた後で読み返すと、最初の仮題より合う言葉が見つかる場合があります。本全体の題名との役割は書名と副題の決め方で整理できます。

執筆が進んで構成を変えたくなったら、変更前の目次を控えてから並べ替えます。写真の位置、年表への参照、人物の初出の説明も一緒に見直します。目次は最初の約束に縛るものではなく、完成する本の順番を確かめるために更新するものです。

この記事に関する質問

章の途中から書くと、全体の流れが分からなくなりませんか?

仮の目次に執筆済みの印を付け、各章の冒頭に扱う時期と主な人物をメモしておくと戻れます。本文が揃った段階で掲載順に通読し、前後をつなぐ説明を加えます。最初から順番どおりに書くことより、原稿の所在が分かることを優先できます。

出典・参考

  • 自分史作成.com「自分史年表メーカー」(2026年9月16日確認)。構成の型と章数は編集部の説明・構成例です。

書き終える前から、本の姿を考えておくと迷いません。

年表を作ると本文の年月の食い違いが減り、原稿の分量が分かるとページ数と費用の見通しが立ちます。どちらも無料で、このサイトの中で使えます。