原稿用紙に万年筆で文章を書いている年配の人の手元

この記事の要点

一文にひとつの内容を置き、出来事と当時の気持ち、いまの考えを分けます。場面を伝える細部を選び、名前と時期の表記を揃えて、声に出す読み直しで読者が迷う箇所を確かめます。

一文一義にすると何を伝える文かがはっきりします

一文一義とは、ひとつの文にひとつの中心となる内容を書くことです。「そして」「けれど」でつなぎ続けると、出来事も感想も混ざり、どこが大切か分かりにくくなります。意味の切れ目で文を分け、前から順に読んで理解できる形を考えます。

例:「私は初めての職場で仕事を覚えるのに苦労しましたが、先輩が帰り際にも教えてくれたので続けられ、そのことをいまも感謝しています。」これは説明のための架空の文です。仕事の苦労、先輩の行動、現在の感謝を分けると読みやすくできます。

書き直しの例:「初めての職場では、仕事を覚えるのに苦労しました。先輩は帰り際にも手を止めて教えてくれました。その支えがあり、続けられたのだと思います。いまも感謝しています。」すべての文を同じ長さにせず、伝える内容の切れ目で区切ります。

短くした結果、誰がしたことか曖昧になる場合は、主語を補います。同じ「私は」が続くなら、意味が変わらない範囲で省けます。文を短くすることは、必要な説明まで削ることではありません。

事実・当時の気持ち・いまの考えは分けて書きます

自分史には、起きた出来事と、そのとき感じたことの両方が必要です。さらに、後になってどう考えるようになったかを書けます。この違いが見えると、読者はいつの視点から語っているかをつかめます。

例えば「転居が決まった」は出来事、「友達と別れるのが寂しかった」は当時の気持ちです。「いま思えば、新しい場所を知る機会だった」は現在の見方です。後の結論を当時から分かっていたように書き替えず、時間の違いを言葉で示します。

他の人の内心も、本人が話していなければ断定しないようにします。「父も不安だった」に代えて、「父の返事は短く、私には不安そうに見えた」と、自分の見た範囲を示す方法があります。確認できる年月は資料を使い、感じたことは誰の感じ方かを明らかにします。

場面はいつ・どこで・誰と・何が見えたかを選びます

「毎日楽しく過ごしました」だけでは、どんな暮らしか想像しにくくなります。いつ、どこで、誰と過ごし、何を見聞きしたかを足すと、読み手が場面を思い描けます。細部はたくさん並べるより、その記憶を表すものを選びます。

例:「夏の夕方、家族と縁側に座っていました。庭に水をまいた後の匂いがして、隣から食器の音が聞こえました。」これは架空の例ですが、時間と場所、周囲の様子で場面が伝わります。覚えていない天気や会話を作って補う必要はありません。

会話は、相手との関係や気持ちの動きを見せる助けになります。正確な言葉が分からないなら、鉤括弧で再現せず、「急がなくてよいと励ましてくれた」のように趣旨を書く方法があります。覚えている言葉を使う場合も、誰の発言かを読者が追えるようにします。

当時の制度・物価・地名は理解に必要な分を補います

自分には当たり前の制度や職場の言葉も、子や孫には通じないことがあります。初めて出るところで短く説明すると、読者が本文の外へ調べに行かずに済みます。説明が長くなる資料は、注や年表へ分ける方法もあります。

当時の物価を書く場合は、記録で確かめられる範囲にとどめます。家計簿の金額が分かっていても、それが家計の中でどう重かったかを添えると実感につながります。曖昧な数字を正確そうに書くより、「気軽には買えなかった」と本人の感覚を伝える方法もあります。

地名が変わった場所は、本文で使う当時の呼び名と現在の呼び名を必要に応じて対応させます。職場の略称も、最初に何の仕事や組織かを説明します。土地勘のない家族が読んでも、移動や出来事のつながりが分かるかを確認します。

名前・敬称・時制は統一し、方言は読みやすく残します

同じ人を姓、愛称、役職で呼び分けると、別人だと思われることがあります。人物名、敬称、地名、会社名などの表記をメモにして揃えます。親族を「母」「母親」「お母さん」と書く場合も、地の文と会話の役割に合わせて決めます。

文末は基本の調子を揃え、過去の回想と現在の感想が切り替わるところを明らかにします。日記の原文を入れるなら、その部分だけ当時の時制であることを示せます。一括置換で全部を過去形に変えると意味が崩れる場合があるため、前後を読んで直します。

方言は、本人らしさや土地の空気を伝えられます。身近な人には通じても意味が取りにくい言葉は、そばに短い説明を添えます。すべて標準語に直すか、すべて原音に近づけるかの二択にせず、残したい口調を決めます。

推敲は声に出す・時間を置く・読んでもらう順で試せます

推敲は、書いた文章を読み直して整えることです。まず声に出して読むと、息が続かない長文や、主語を見失う箇所を探せます。話すときなら使わない難しい言葉が混ざっていないかも確かめます。

次に一晩置くなど、原稿から少し離れて読みます。書いた直後は、頭の中にある説明まで紙に書いたつもりになりがちです。時間を置いて戻ると、人物の紹介や出来事のつなぎが抜けていることに気づきやすくなります。

家族には感想だけでなく、「誰の話か迷ったところ」「時期が分からなかったところ」を聞きます。本人の考えを家族の好みに合わせるためでなく、伝わりにくい箇所を見つけるためです。構成に関わる問題は目次の見直しへ戻って直せます。

編集を頼む場合は原稿の状態と残したい言葉を伝えます

運営会社は「文章を書き慣れていない人向けに、編集サービスや執筆代行のオプションがある」と案内しています。何を伝えたいかは本人が決め、どこを整えてほしいかを具体的にします。言い回しを残したい場面には、その希望を添えます。

料金例では、「よくある形で」はテキストデータ原稿と簡易編集、「少し豪華に」は手書き原稿と本格編集を前提にしています。この名称の違いだけで、個別の修正がどこまで含まれるかは決められません。誤字や表記の確認を求めるか、文章のつながりや構成にも相談したいかを示し、対応範囲を確かめます。

編集を頼んでも、本人の経験や地名まで相手だけで確認できるとは限りません。確認してほしい点と自分が確かめる点を分け、修正後の文章を読みます。提出前の整理は原稿の作り方で進められます。

この記事に関する質問

文章を読んだ家族に、口調を全部変えたほうがよいと言われました。従うべきですか?

読みにくい理由を具体的に聞き、意味が伝わらない箇所と、家族の好みによる箇所を分けて考えられます。本人らしい語り口は残し、説明不足や長文を先に直す方法があります。修正案を声に出して比べ、自分の言葉として納得できるか確かめます。

出典・参考

  • お手軽出版ドットコム「自分史を本にしませんか?」(2026年9月16日確認):簡易編集・本格編集を含む料金例の前提。
  • お手軽出版ドットコム「出版の流れ」(2026年9月16日確認):編集と執筆代行のオプション。

書き終える前から、本の姿を考えておくと迷いません。

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